■日本の「ダイオキシン問題」の発端となった事例
1997年に大阪府のごみ処理場「豊能美化センター」で、焼却場の煙突から約100m離れた池の底の土で、調査史上最高濃度と言われる2万3000ピコグラムのダイオキシンが検出されたもの。これは、同じエリア周辺でそれまで過去最高とされていた、府立能勢高校の農場における2700ピコグラムのおよそ10倍にも及ぶ濃度であったことから、大きな社会問題となりました。その後、処理場の移転など、この一件にかかわる問題は、町長選挙の当落にも影響を与え、「ダイオキシン」に対する国民の認識を高めるきっかけとなりました。
■国の対策
豊能美化センターのダイオキシン問題から2年後、国会で「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立し、国は、基準値の設定とそれを超える案件に対する規制、及びダイオキシン研究の推進に乗り出しました。環境省のホームページ「ダイオキシン類対策」のページによるとその主な概要は以下の通りです。
(1)ダイオキシン類に関する施策の基本とすべき基準の設定
耐容一日摂取量(TDI)及び大気汚染、水質汚濁(水底の底質の汚染を含む)、土壌汚染に関する環境基準の設定。
(2)排出ガス及び排出水に関する規制
1.規制の対象となる特定施設を政令で指定。
2.排出ガス(大気)、排出水(水質)に係る排出基準の設定。都道府県が条例でより厳しい基準を定めることが可能。
3.都道府県知事は、国が設定する環境基準達成が困難な大気総量規制地域について、総量削減計画を作成、総量規制基準を設定。
4.総量規制地域の設定について、住民から都道府県を経由して国に意見申出が可能。
5.特定施設を新設する際に知事へ届出。知事は60日以内に計画変更の命令が可能。
6.排出基準、総量規制基準の遵守義務。知事は改善命令が可能。
(3)廃棄物焼却炉に係るばいじん・焼却灰等の処理等
ばいじん・焼却灰中の濃度基準及び廃棄物の最終処分場の維持管理基準を設定。
(4)汚染状況の調査・測定義務
1.知事は大気、水質、土壌の汚染状況を常時監視し、環境大臣に報告。
2.国・地方公共団体は汚染状況を調査測定し、調査結果は、知事が公表。
3.事業者に排ガス、排出水の測定義務。測定の結果は知事に報告され、公表。
(5)汚染土壌に係る措置
1.知事は、土壌環境基準を満たさない地域のうち特に対策が必要な地域を指定し、対策計画を策定。
(6)国の計画
1.国は、事業分野別の排出量の削減目標量や、そのための措置、廃棄物減量化施策などを定める計画を作成。
(7)検討
1.臭素系ダイオキシンに関する調査研究の推進。
2.健康被害の状況、食品への蓄積状況を勘案して科学的知見に基づく検討等。
3.小規模な廃棄物焼却炉等の規制の在り方に関する検討等。
厚生労働省においては、食品から人が摂取するダイオキシンの量を毎年サンプル測定し、基準値を超えることがないようにチェックを行っています。また農林水産省においても、農産物、畜産物、それに影響を与える水質、土壌などについて調査を実施し、実態の把握や指導監督を行っています。